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【企業インタビュー】ハリマ化成株式会社様

  • 21 時間前
  • 読了時間: 5分

「それ、前にもやってたよ」と言われる状況をなくしたい。


ハリマ化成様と Elith は、80 年近く蓄積された技術知を次の研究へつなぐ取り組みを進めました


若手の研究者が条件を検討し、ベテランに見せます。時には、ベテランから次のような言葉が返ってきます。

「これ、前にもやってたよ」

過去の報告書も実験データも社内に残っています。それでも、必要なときに見つからなければ、知識は次の研究につながりません。

ハリマ化成様の研究企画部が向き合ったのは、この「あるのに使えない」状態でした。Elith は約 3 か月、設計と技術判断の面から伴走しました。

研究企画部の 2 人が開発を担い、自分たちで仕組みをつくり、必要に応じて直せる状態を目指しました。



200 件か、0 件か


社内には、研究報告書や実験データが蓄積されていました。問題は、必要な知見にすぐたどり着けないことでした。


検索すると 200 件ほど出る。条件を絞ると、今度は 0 件になる。探したい情報に届く前に時間がなくなり、結局は詳しい人に聞く。知見が消えたのではなく、使われないままになっていました。


研究企画部は当初、AI エージェントを使ったアイデア創出も検討していました。しかし、現場の話を聞くほど、先に取り組むべきことが見えてきました。

「若手が実験条件を決めて検討を進め、ベテランに見せたら『前にもやってたよ』と言われる。実際に、そういう場面があります。」(ハリマ化成 小畑様)


まずは、社内にある研究知を引き出せるようにすることを優先しました。RAG は、そのための入口になりました。


Elith は最初に、完成品ではなく地図を示しました


RAG の説明は、どこにでもあります。けれど、自社の研究報告書を対象にすると、最初に決めるべきことは急に増えます。どの文書を扱い、どこまでを検索対象にするのかを決めるために、まずは全体の見取り図が必要でした。


研究企画部の 2 人が開発を進めるにあたり、Elith は必要な技術と工程、時間がかかりそうな箇所を整理して共有しました。


「RAG とは何かという説明はありますが、実際に開発するとなると全然違います。何が必要であるか、正直よく分かりませんでした。最初にしっかりした資料をいただいて、何が必要なのかを示していただいた。あの道標がなかったら、できていなかったと思います」(ハリマ化成 関根様)


週に 1 度、手を動かして分からなかったことを持ち寄ります。打ち合わせは、答えを受け取る場ではなく、次に何を試すかを考える場になりました。


加えて、「質問がないともったいない」と、次の打ち合わせに向けて質問をためていたといいます。

Elith は、設計や実装方針の検討を支えました。検索アプリだけでなく、ハリマ化成様が自分たちで育てられる状態を残すため、実装の主体はハリマ化成様側に置きました。


研究者が情報を探す手がかり


最初の検索では、研究者が欲しい情報に必ずしも届きませんでした。意味が近い資料を探したいときもあれば、別の手がかりから探したいときもあります。


研究者は、テーマだけで資料を探すわけではありません。著者名や実験条件など、すでに頭の中にある手がかりも使います。


「出来たての段階では、ハイブリッド検索だけを入れていました。思ったように検索できず、これは少しまずいかもしれない、という感じでした」(ハリマ化成 関根様)


検索方法は、研究者の探し方に合わせて見直されました。機能を増やすだけでなく、誰が、どんな言葉で、何を探しているのかも見直しました。


文書を増やすと、次の課題が生まれます


検索対象を広げようとすると、別の論点が出てきます。研究報告書にはスキャンされた PDF もあり、これから取り込む文書が同じ形式とは限りません。

検索の精度だけを見ていても、使える仕組みにはなりません。新しい文書が加わるたびに、どこまで読み取り、どう扱うのかを考える必要があります。


「いま、新しい種類の報告書や調査レポートもデータベースに入れようとしています。形式が変われば、また乗り越えなければならないことが出てきます」(ハリマ化成 深井様)


PoC を通じて、研究企画部は次の調整を自分たちで考えられるところまで進みました。どの文書をどの順番で増やしていくのかは、これからも現場で判断していきます。


「すでに検索で使ってるよ」


PoC を終えたシステムは、社内展示会でも紹介されました。そこで、「すでに検索に使っているよ」といった声ももらうそうです。


開発中から情報を出していたこともあり、利用は複数の研究拠点へ広がり始めています。使う人が増えるほど、次に直すべき点も見えてきます。


ケミストが AI を扱える会社を目指す


この取り組みには、検索の利用範囲を広げる以上の狙いがあります。


「データサイエンティストをたくさん雇おうとは考えていません。ケミストが、こういうこともできるようになればいいと思っています」(ハリマ化成 小畑様)


研究テーマや社内データの意味を最も深く知るのは、現場の人です。その人たちが AI を使い、自分たちの問いを形にできるようになることも、今回の PoC が目指したことでした。


ハリマ化成様では、研究企画部だけでなく、ほかの部署にも RAG やコーディングに取り組む人を増やそうとしています。


研究者が「前にもやってたよ」と言われる前に、過去の知見に自分でたどり着けるようにすることを目指しています。その先で研究者が何を試すのかは、これから現場が決めていきます。













Elithからハリマ化成株式会社様へのメッセージ


このたびは貴重なインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。

長年にわたり蓄積されてきた研究報告書や実験データを、次の研究に活かせる形で引き出すという課題に対し、共に解決策を模索できたことを大変嬉しく思います。


インタビューで語られていた通り、研究者の皆様がどのような手がかりで情報を探し、どのような場面で過去の知見を必要とするのかを丁寧に共有いただいたことで、弊社としても研究現場への理解を深めることができました。週に一度の打ち合わせに向けて積極的に質問を持ち寄り、試行錯誤を重ねながら主体的に開発を進めていただいたことに、深く感謝申し上げます。私たちElithにとっても、AIの可能性を研究開発の現場に根ざした形で実装し、ケミストの皆様が自ら育てていける仕組みづくりに伴走できた、非常に意義深い機会となりました。

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