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IGPI様が先行認証取得に取り組んだ理由── 客観的な視点でAIガバナンスを確認するために

  • 8月4日
  • 読了時間: 8分

生成AIの活用が急速に広がる一方で、企業には利便性だけでなく、リスクを正しく捉え、継続的に管理していく体制が求められています。


今回、IGPI様は、JDLAのAIガバナンス第三者認証制度「C認証」を先行取得されました。


本記事では、C認証取得を推進された松岡様・紀伊様に、取得を目指した背景、取得までの取り組み、認証取得によって期待している効果、そして今後の展望について伺いました。



C認証取得を目指した背景


今回、C認証取得を目指すことになったきっかけや目的は何でしたか。


松岡様:行認証の説明会の中でC認証の存在を知ったことが、取得を目指すきっかけとなりました。AI関連のリスクに対しては、これまでも自社で一定の対応を進めてきましたが、その取り組みを第三者の視点から客観的に確認してもらうことが大きな目的でした。

弊社では数年前からAIツールの活用・導入を進めており、その時点から、利用状況に応じて必要なルールや管理方法を段階的に整備してきました。ただ、2026年に入ってから少し潮目が変わったと感じています。これまではAI活用を前に進める議論が中心でしたが、特にAIエージェントの普及などにより、AIがより自律的に業務を実行する場面が増え、リスク管理の重要性も一層語られるようになってきたと思っています。

そうした環境変化の中で、自社の取り組みを客観的に確認し、一定の基準に沿ってAIリスク管理を行っていることを、対外的にも説明できる状態をつくりたいと考えました。



C認証取得前に、ハードルになりそうだと感じていた課題や不安はありましたか。


松岡様:一つは、社内で使われているAIツールの棚卸しです。もともと、一定の範囲でツールの洗い出しを行い、把握・管理していましたが、認証の要求事項に照らして、どの粒度まで追加で確認すべきかを整理する必要がありました。個別の利用も含め、全社横断で利用状況を網羅的に再確認するには、一定の時間と調整が必要だと考えていました。

また、さまざまなプロジェクトが進行する中で、認証取得を推進するためのリソースには限りがありました。加えて、新しい認証制度であったため、どのような認証プロセスを踏み、何を準備する必要があるのかを、初期段階で具体化していく必要がありました。


IGPI様のオフィスエントランス
IGPI様のオフィスエントランス

取得までの取り組み・体制


どのような社内体制や役割分担で取得を進められましたか。


松岡様:もともとAI関連の推進を担っているメンバーだったため、今回のAIガバナンスに関する認証取得についても、私たちが中心となって進めることになりました。役割分担としては、契約などの事務的な対応は紀伊が中心となり、認証取得に向けた具体的な推進は私が主に担当しました。必要に応じて関係者とも連携しながら進めています。


紀伊様:私も松岡と同じくAI活用を推進する立場にいたため、活用を進めるだけでなく、ガバナンスを整えることも自分たちの役割だと考えていました。AI活用を着実に進めるためには、利便性とリスク管理を両輪で考える必要があります。継続的にリスクと向き合う体制を整えることが、結果としてAI活用の推進にもつながるという認識がありました。



取り組みを進める中で、特に苦労したポイントは何でしたか。


松岡様:新しい認証制度であったため、初期段階では、要求事項と社内プロセスとの対応関係を整理することに時間を要しました。必要な情報をどのタイミングで収集するか、社内手続きをどのような順序で進めるかを具体化し、全体のスケジュールに落とし込む点には一定の難しさがありました。


JDLAやElithとのやり取りの中で、特に助かった点があれば教えてください。


紀伊様:早い段階で、ElithさんやJDLAさんから、「今回の認証ではどのような観点を見るのか」「どの範囲を対象にするのか」といった大枠を示していただけたことが助かりました。対象範囲が明確になったことで、すでに社内で取り組んでいることと、追加で対応すべきことを整理しやすくなりました。先行認証という新しい取り組みの中でも、審査の観点やスコープを早い段階で共有いただけたことで、具体的な準備を進めやすくなりました。



C認証取得によって期待している効果


C認証取得が決まった際の率直な感想を教えてください。


松岡様:率直に言うと、まずはホッとしました。今後、この認証制度がどのように展開され、社会的に認知されていくかはこれからだと思いますが、先行認証の取得企業として早い段階から取り組めたことには、大きな意義があると考えています。


紀伊様:これまで継続的に積み重ねてきた取り組みが、今回の認証の主要な観点に照らしても一定の水準にあると確認できたことに安心しました。この2〜3年、新しい機能やリスクが出てくるたびに議論を重ね、対応を積み重ねてきましたが、認証で求められる主要な項目の多くについて、既存の取り組みで対応できていることを確認できました。

AIを取り巻く技術やリスクが急速に変化する中で、自社内の知見に加えて第三者の視点を取り入れ、これまで進めてきた取り組みの方向性や妥当性を確認できたことは、大きな安心材料になりました。認証を取得できたことに加え、これまでの取り組みを客観的な基準に照らして確認できたことにも、手応えを感じています。



C認証取得によって、社内体制や運用面でどのような効果がありましたか。


松岡様:リスク管理に関する規定や文書が再整理され、これまで運用してきた内容を改めて体系化し、より明確な形で文章として残せるようになったことは大きな効果でした。もともと一定の対応はしていましたが、それらを一覧化して管理することや、規定として整えておくこと自体に意味があります。今回整理した規定や文書が、継続的に参照・更新できる状態になったことで、今後の運用にも活かしやすくなったと感じています。


紀伊様:今回のC認証取得については全社員に周知していないこともあり、全社的な効果については現時点では把握できていません。ただ、今回のプロセスに関わった関係者にとっては、AIガバナンスについて改めて考える機会になったと思っています。



貴社のお客様に対しては、どのような効果を期待していますか。


松岡様:認証という分かりやすい形で、AIリスク管理に継続的に取り組んでいることを示せるため、クライアントに一定の安心感を提供できるのではないかと考えています。


紀伊様:日々進化を続けるAIの領域では、企業ごとに置かれている状況も異なり、どの対応が適切かを判断することが難しい場面もあります。C認証が安全性に関する唯一の正解というわけではありませんが、一つの客観的な基準として、クライアントとの議論の出発点になると考えています。認証を取得したうえで対話できることで、クライアントにも当社の考え方や取り組みを理解いただきやすくなり、AI活用に関する議論を具体的に進めやすくなることを期待しています。



今後、AIガバナンスへの取り組みをどのように事業成長につなげていきたいですか。


紀伊様:AIを安全に活用できる状態を整えることは、AI活用を前に進めるための土台になると考えています。今後もAIの機能拡張に伴い、企業が考慮すべきリスクは継続的に変化していきます。だからこそ、適切な管理基盤を整え、リスクをコントロールしながらAI活用を進められる状態にしておくことが重要です。そうした状態に近づけたことは、社内のAI活用を推進する面でも、クライアントに対して支援を提供する面でも、企業価値の向上につながると考えています。


IGPI様のオフィスの様子
IGPI様のオフィスの様子

顧客・社内・市場に対して伝えたいこと


今回のC認証取得を通じて、顧客・社内・市場に伝えたいメッセージはありますか。


紀伊様:AIガバナンスは、多くの企業にとって、まだ試行錯誤が続いている領域だと思います。 そのような中で、今回の認証取得プロセスを通じて審査担当者の方と対話し、AIリスクをどのように捉え、どのような観点を重視しているのかを知ることができました。

客観性のある基準に基づいて自社の取り組みを点検できたことは、非常に有意義だったと感じています。まずは自社の現状を把握し、必要な取り組みを始めることに意義があると考えています。



これからC認証取得を目指す企業に向けて、アドバイスをお願いします。


松岡様:申請前の段階でどこまで準備できているかによって、必要となる対応の範囲や期間は大きく変わると思います。まずは利用中のAIツールや関連ルールを整理し、現状を可視化することが重要です。そのうえで、組織として利用を承認したツールを整備し、社内に提供していく方針を事前に持っておくことをおすすめします。

また、経営層の納得感や理解も重要であり、それがあるかどうかによって、取り組みの進み方は大きく異なると思います。昨今世の中で発生しているAIインシデントなどの具体的な事例も共有しながら、経営層と認識を合わせて進めることで、より円滑に取り組みを推進できると感じました。


紀伊様:認証取得に向けた取り組みを始める前に、社内外の協力体制を確認しておくことが重要だと思います。全社を横断して情報収集する必要があるため、あらかじめ関係部署や協力者と目的や進め方を共有しておくことで、より円滑に進めやすくなります。



ElithからIGPI様へのメッセージ

このたびは貴重なインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。先行認証という新しい取り組みにご参加いただき、認証取得に向けて最後まで着実にご対応いただきましたこと、心より感謝申し上げます。


認証プロセスを通じて、IGPI様には自社の取り組みや課題を率直に共有いただき、必要な確認や文書整備に丁寧に取り組んでいただきました。関係者間で継続的に対話を重ねながら、無事に認証取得に至れたことを大変嬉しく思っています。


IGPI様がこれまで積み重ねてこられたAIガバナンスの取り組みと、今回の客観的な確認は、今後AI活用を進める企業にとっても有益な事例になると考えています。これからもElithは伴走者として、IGPI様とともに、AIを安心して活用できる環境づくりを前に進めてまいります。


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